ロンドン歴18年の日本人が学んだ欧米のデジタルデザイン #designship2018
※この記事はDesignShip 2018 2日目のトーク、難波 謙太さんによる「ロンドン歴18年の日本人が学んだ欧米のデジタルデザイン 」の内容を書き起こしたものです。記事を早く出すため体裁が整っていない部分もあるかと思います。あとで気が向いたら直します。
難波 謙太 氏登壇内容(DesignShip Webサイトより)
高校卒業と同時に単身渡英、美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、14年間ロンドンにてデザインキャリアを積む。
ロンドンオリンピックをはじめ、ホンダ、ナイキ、ASUS、ジャガー、P&Gなど様々なグローバルデジタル案件のデザインとクリエイティブディレクションを手がけた。 日本との違いの一つは、戦略からコンセプトまでデザイナーが自ら立案し制作まで携われること。企業側も、デジタル媒体ならではのメガ提案を求めてくる。
このため欧米でのデジタルデザイナーという職はチャレンジングであり飛躍できるキャリアである。それに比べると日本はまだ評価が低いため、デジタルデザインの価値を証明していくことが課題だと考える。
トーク内容
ロンドン
ヨーロッパのハブ的存在。たくさんのデザイナーが集まって仕事している。そのような意味で欧米という言葉を使っている。
経歴
高校卒業と同時に単身渡英。将来何をやりたいか、と聞かれたときに全くわからなかった。そのときにアメリカ言ってみないか、と言われた。洋画が好きだったのでいいかなと思った。アメリカは危ないのでイギリスへ。家族はデザインに縁がある人ではなかった。イギリスでデザインに会った。当時はインターネットも発達していなかった時代。出会ったのは偶然だった。1ロンドン生活の中で、ロンドンオリンピック、デザインチームの立ち上げ、デザイナーの育成などに関わった。18年間やってみて、燃え尽き感が出てきて、2年間世界を放浪してみた。2014年に旅の流れで日本に帰国し、そのままフリーランスに。
グラフィック畑出身の人。キャリアの後半はAKQAで仕事したりグッドパッチに所属するなど。
ホンダのイメージ刷新に関わった。約1年かけて作りあげた。ASUSのブランドキャンペーンを世界各国でやりたいという話があり、それも手がけた。
日本でのミッション
- デザイナーやデザインマネージャーの飛躍のきっかけになりたい
海外でやってきて、それをなにかしらの形で受け渡したい、若手の後押しができたらいいなと思った。
- これを実現しようとしている組織の力になりたい
それもあってグッドパッチに所属している
デザイナーという存在
ビジュアルを作る人ではない。課題を見つけて解決策を生み出してそれを形にすること。日本ではデジタル業界ではデザイナーは形にするだけというイメージがあるように思う。企画はディレクターが考え、作るものが決まっているという印象がある。ヨーロッパではデザイナーは戦略から関わり企画を考え、最終的に形にする人。ゼロから考えて作る人。
日本と欧米の違い
- デジタルデザイナーのキャリアパス
デザイナーが組織の一番下にいる。キャリアアップをしたいと思ったときに、ディレクターという選択になることが多い。でもデザイナーは作ることが好きで、クリエーターであり続けたいのに、それができない。海外だとデザイナーとして出世できる。専門性を生かして出世できる。これはとても大事なこと。デザイナーがデザイナーを育てる、品質を担保するということがクリエーター内だけでエコシステムを作れる状態
- ブランディングとデジタルの関係性
日本ではブランディングとデジタルが離れてしまっている。海外ではブランディングが中心にある。戦略もコンセプトもないデザインを出してしまい、怒られたことがある。ただの情報設計ではなく、ブランドのことも考え、反映しなければいけない。
- デジタルを越えたブランドエクスペリエンス
デジタルはあって当たり前。リアルイベントまで持っていく、それをマーケティングするなど。NIKEではアプリを通して一流のサッカー選手がトレーニングメニューを作ってくれる、それをリアルイベントでもやるということをすると、ブランドの文化が作れる、ということがあった。
日本のデジタルデザインの価値を創造するために
- ブランド観点でデザインする
ユーザに寄り添うのはいいが、ブランド観点が抜けてしまってはいけない。使い捨てにならないように。デザインにちゃんと落とし込む。
- 分業せずにプロジェクトチームで企画を考える
全員で考えて、全員で作り上げる
- 企画はデジタルを越えて良い
なんでもいいので、でかくいく。どうせ削られるので。小さいと、そこから広がることはない。
- 言葉で伝えるトレーニングをする
デザイナーはコミュ障だと思っている。作って見せれば終わりではない。デザイナーが説明できなかったら誰が説明するのか。これはデザイナーにしかできないこと。欧米ではデザインの価値が浸透している。日本ではそこまでいっていない。デザインの価値から説明しなければいけない。コミュニケーションが大事。
デザイン会社ができること
- 専門性を活かしたキャリアパスを作る
- デザイナーの武器を育てる
それぞれ得意なものがあるはず
- デザイナーを上流フェーズに巻き込む
チーム全員で考えるように巻き込む
- アートディレクターを増やす
ADがいないとキャリアパスを作っても仕切る人がいなくて、成り立たない。
これをやることによって、
- デザイナーのキャリアアップ
- デジタルデザインのクオリティアップ
- デジタルデザインの価値のアップ
が見込める。
最後に
我々デザイナーたちがこれを実現していかなければならない。企業の人たちが変えてくれるわけではない。自分たちが持っているスキルを発揮するように。これからの若い世代のためにキャリアの土台を一緒に作っていければ。悩みがあったら気軽に連絡を。