とりあえずやってみればいいじゃん

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エンジニア関連のことについてつらつら書くブログ

越境するデザイン #designship2018

※この記事はDesignShip 2018 1日目のトーク、田川 欣哉さんによる「越境するデザイン」の内容を書き起こしたものです。記事を早く出すため体裁が整っていない部分もあるかと思います。あとで気が向いたら直します。

田川 欣哉 氏経歴DesignShip Webサイトより)

プロダクト・サービスからブランドまで、テクノロジーとデザインを駆使し幅広い分野のプロジェクトを手がけるデザインエンジニア。グッドデザイン金賞、 iF Design Award、Red Dot Design Award、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクション、未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定など受賞多数。経済産業省「産業競争力とデザインを考える研究会」などの委員を務める。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート客員教授・名誉フェロー。

トーク内容

今日の話

自分の領域を飛び越えてみると異なる文化などに驚いたりする。プリントメディアのデザイナーがスクリーンのデザイナーの領域に入っても驚くことがある。自分が積み上げてきたものが通じないことがある。

原体験

大学3年までデザインをよくわかっていなかった。当時機械工学でエンジニアリングを勉強していた。わくわくするようなものを作りたいと思っていた。大学で勉強したら世の中の全てのものが作れると思っていた。あるメーカーにインターンに行った。そしたらエンジニアリング以外の人も多く目に入った。スケッチを書いて、利用シーン、大きさのイメージを描いたりしていた。それを見て驚いた。それまでエンジニアがやるものだと思っていた。こんな職種があるならやってみたいと思った。インターン後、エンジニアリングとデザインに取り組んでいきたい、と言ったら、「わかるけど、エンジニアリング部隊は優秀だし、デザインも優秀。両方やろうと思っても無理だから、エンジニアになりなさい」と言われた。ものづくりに夢を持っていたが、ゲートを閉めれたような感覚に陥った。デザインを取るか、エンジニアリングを取るか悩んだ。半年くらい経っても決められなかった。最終的に「これだけ考えても選べないなら、選んじゃいけないのでは」と思った。選ぶと後悔しそうだと思った。今はデザインエンジニアリングをやっている。

Takram

デザインとテクノロジーとビジネスをジャンプするような仕事を、ということでつくった。もっと先の未来を考えるようなプロジェクトやブランディングの仕事、服を考える仕事など多岐に渡る。デザイン駆動型イノベーションということでデザインを使ったイノベーションをやっている。

どうやってイノベーションを起こすか

ビジネス、テクノロジー、クリエイティビティ(BTCトライアングル)を使いながら新しいものを作っていく。できるだけこれらの職種の人を混ぜて仕事している。

クリエイティビティにはクラシカルデザインというものがある。テクノロジーとクリエイティビティの間にはデザインエンジニアリング、ビジネスとクリエイティビティの間にはビジネスデザインがある。デザインというのはこれら3つのデザインが足し合わせる形で構成されるものだと思っている。

○○デザインはなぜどんどん生まれてくるのか

どこの時代でも、○○デザインが生まれるときに産業革命がある。デザインが初めて形をなしたのが1950年くらい。1対1の時代から工業製品が作られるようになると、高いクオリティのものを大勢の人に、という流れになってきた。コンピュータの時代になるとインタラクションデザインが生まれた。スマホがでてくるようになるとデザイン思考、デザインエンジニアリングの考えが出てきた。テクノロジーの可能性とデザインをあわせて考えるようになった。

Takramの社員の場合

エンジニアがモバイルのUI設計、空間ラウンジの空間設計をやったり、同じくエンジニアがカメラレンズのデザインをやったり…。3ヶ月に1回くらい移り変えつつやっている。

なぜそんなことをやっているのか

デザインとイノベーションをつなげて考えられている人は、世の中的には少ない。家電量販店では一人の人間の個性、行動は関係なく、数としてカウントされるだけだった。しかしインターネットがそれを壊した。一人のユーザに向き合う技術はデザインの力で担う。ただ、デザインだけでイノベーションが起こせるわけではない。ビジネス、テクノロジーもないとだめ。デザイナーはデザインにフォーカスするが、他の人とコミュニケーションをしたり、視野を拡げることで新しいものが見えてくる。いろんな視点を持つことが大事で、ある時はマーケターとして、ある時は技術者として考えられるようにしている。

デザイン経営宣言

デザイン経営の定義は経営チームにデザイン責任者がいること、事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること。

デザインでリーダーシップを

デザインは手法の話がよく出てくる。世の中を刷新していくには、このdesign thought leadershipという考え方が重要になってくる。デザイナーがソートリーダーでもいい。デザインというフィールドから力を発揮していけないか。

「違和感」

社会にフィットしてないから変えた方がいいよ、という話から始めた。しかし、これがどうしても合わないと思った。

IDEの社是(のようなもの)には「イノベーションの時代に生きているには、まだクリアに定義できないような人たちも育てていくべき」というものがある。どこような仕事がその時代に成立しているかわからないのだから、型に当てはめるのが必ずしも良いことではない。バックミラーだけを見ていてもしょうがない。フロントから見えるものを直接知覚していかないと。

社会との違和感、周りの人立ちとの違和感を感じることがあるかもしれないが、それを否定しないでほしい。まだ認識されていないだけの価値かもしれない。自分の感覚が未来に向きすぎているかもしれない。後に価値化するかもしれない。これを仕事で考えたときの言葉が「越境」だった。強制的に越境して積極的に違和感を感じて、新しいイノベーションの力に。

最後に

「私は芸術である。私達は科学である。」

デザイナーは個性を大事にするが、仕事では私達、我々をよく考えることがある。どっちを優先させるかで悩む。Iとweを両方持って、必要なときに組み合わせればいい。

ぜひ皆さんでデザインのフィールドを広げましょう。