「つくる」X「つたえる」がもたらす新たなデザイン #designship2018
※この記事はDesignShip 2018 2日目のトーク、堀田 峰布子さんによる「「つくる」X「つたえる」がもたらす新たなデザイン」の内容を書き起こしたものです。記事を早く出すため体裁が整っていない部分もあるかと思います。あとで気が向いたら直します。
堀田 峰布子 氏登壇内容(DesignShip Webサイトより)
「つくる」ときから「つたえる」ことを考える。そして、「つたえる」ことを考えながら「つくる」。この一見、当たり前のようなアプローチに対して、何を今更というデザイナーは多いかもしれない。
しかし、今、いくらデザイナーや企業が良いデザインや新しい製品をつくったからと言って、その存在やその良さ、特徴を生活者や社会、そしてメディアに伝えなければ、知って貰えず、買っても貰えないという事態に陥る。
「つくる」ことと「つたえる」こと。従来の企業組織や職能としては、別々に分断されていたこの機能と工程に同時にアプローチすることで生まれる新たなデザインとビジネスの可能性を追求している。
トーク内容
自己紹介
新卒でパナソニック、プロダクトデザイナー。今6社目。
作るから伝えるに越境するキャリアだった。作るだけでは限界があると思ったので伝える側に。伝えることの重要性にも気づいた。
はじめに
いくら良いプロダクトを作っても、使ってもらえる、買ってもらえる時代ではない。海外では有名なブランドを、日本でどうやって広めていくかということにも携わった。いいものは作れているから伝える方、プロダクトブランディングに力を入れた。今は広告代理店にいる。
つくるには限界があるから、何をどう伝えるかという部分も総合的にデザインされるべき。この領域を越境したところに新しいものがある。
つくる、つたえる
多くの日本企業はつくるのは得意。伝えることはそんなに得意ではないと思う。高い技術力、デザイン力を持っているのに、伝えることに長けていない。謙虚といえば謙虚。
なぜ伝える力が弱いのか。企業の多くは企画から販売促進をウォーターフォールでやっていた。そこでは工程的分断が発生する。意思疎通がスムーズにいかないことがある。基本的な情報でさえも共有されていない。同時に、組織的分断も発生する。他の組織に口を出せないということも発生する。ちゃんと伝えたはずなのにできていない、でも口を出せない。さらには思考的分断も発生する。デザイナーはデザインだけ考えていればいいという考え。もっと企画もやりたいと思ったら、組織を飛び出すしか手段がなかった。広い体験をしていくというのは日本の企業では難しい。思考的分断は新しいものを生み出すにあたって大きな障害になる。
つくるxつたえるというアプローチ
作るときから伝えることを考える、伝えることから逆算で作る思考をアプローチをすることでこれまでにないデザインを作ることができる。広告代理店も作ることにも関わってきたりする。作ることと伝えることを両輪にするデザイン開発もある。
いきなり組織全体やプロセスを大きく変えられないので、小さなデザイン開発プロジェクトで回してみた。テーマは一人暮らし向けのIoTデバイス。メンバーのアサイン、プロセスについて説明する。
メンバーは作る側の人、伝える側の人両方がいる状態。プロジェクトメンバーとして柔軟に取り組んでもらった。コピーライターに最初から入ってもらった。今まで視覚化のデザイン開発が多いが、伝えることを想定すると言語化も重要なのでコピーライターにも入ってもらった。そうすることでこれまでにないアウトプットを実現することができた。
このプロジェクトでは視覚化より言語化に重きをおいた。視覚化の前後に言語化のフェーズを入れた。なんとなくコンセプトはこんなかんじ、ではなく、精緻に決めていった。コピーライターは共有しやすい言葉にまとめてくれる。世の中の人にもわかるように言葉にしてくれる。プロジェクトメンバーみんなが、同じ言葉で答えられるように、キャッチコピーを作る。
コピーライターが入るとプロジェクトメンバーの理解共有度が高まった。最初に決めたコンセプトに立ち返って考えることができた。全体の地図が言葉になっている状態。メンバー外の人に説明するときに伝えやすくなった。副次的に、インナーへのコミュニケーションもしやすくなった。ネーミングも有効だった。毎日のように名前を呼ぶことで、愛着がわいた。
メッセージ
つくることと、つたえることを、ご一緒に。
作るときから伝えることを考える。伝えることから逆算していくことでデザインは大きく変わる。