とりあえずやってみればいいじゃん

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読書メモ:カイゼン・ジャーニー -第1部- #kaizenj

読書した内容を忘れないようにするための要約メモです。

今回の本

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

今回は「第1部」のまとめ。

要約

ストーリー

様々な提案をしても何かにつけて後ろ向きな人たちに阻まれ、会社を辞めようかと思っていた主人公。ある時社外のカンファレンスで人生を大きく変える出来事が起こる。そのカンファレンスでは石神という人が「開発のあり方とやり方」についての具体的な取り組みを話していた。懇親会で主人公はその石神に感想や質問を投げかけるが、逆に「あなたは何をしている人なんですか」と問いかけられる。そこで、自分は今まで理想論を語るだけで何も実行に移せていない人であると自覚する。

主人公がいる会社ではプロジェクトチームが作っては解散、という状態を繰り返しており、かつ知見が組織ではなく個人にしか貯まらない状態になっていた。加えてタスクの抜け漏れ、チームの状況の不透明化などが起こっていた。この状況下でも「タスクマネジメント」「タスクボード」「朝会」「ふりかえり」は自分一人でも取り組めるかもしれないと気づく。

主人公が個人でふりかえりをやってみたところ、頻度が高いとその分結果を活用する機会も増えて効率的だということに気づく。そのことをSNSに投稿したところ、石神さんから「どうやるの?」「ふりかえりがうまくいってるって、どう判断するの?」と聞かれる。改めて思い返すとTryの内容が「もっと〜する」という具体性を欠いたものになっており、ふりかえったことがうまく活用できていないことに気づく。そしてこれを改善するには他人に気付かせてもらう必要があると感じた。

ある日、結合テストでバグが大量に出た。ここでの問題はやるべきことの管理が杜撰であること、完成図が描けずに仕事を進めていることにあった。ここで主人公は「リーダーがなんとかしてくれる」と人に頼るのではなく、自分で考えてみることにした。その結果、やりたいことの粒度が大きすぎてそのために何を実装すべきなのかが不明瞭になっていることに気づいた。

これまたある日はクライアントから「まだやってないのか」と詰められていた。他のプロジェクトのタスクもある中でタスクの優先順位を適切に決められていない状況にあった。問題は、チームでの朝会がなくなったということもあって「今日何をすべきか」が明確になっていないことだった。そこで主人公は一人朝会をやることにした。すると今日と明日の間に境界線を引き、そこでタスクを見直すことができるようになったし、振り返りのリズムも生まれた。

またある日のこと、依頼した仕事がなかなか返ってこないということがあった。問題としては自分が誰に何を頼んでいるかを見失ってしまっている、そのタスクがいつ返ってくるかわからないことにあった。そこで自分だけのタスクボードを作って運用してみた。ここでは他人に依頼したタスクも見える化して自分の対象範囲のタスクがわかるようにした。そんな時に同僚がこの運用に興味を持って話しかけて来て、一緒に朝会をすることになった。

最初の賛同者と一緒に朝会するようになったものの、部署が全く異なるためいまいち共感することができない。やはりチームでやる必要があると感じると同時に、どうやったら他人を巻き込めるのかに思いを巡らせるようになった。そしてこの賛同者と社内勉強会を開くことによって突破口を見つけようとする。

社内勉強会のネタとしてはイベントの報告と自分がこれまで取り組んできたことの共有とした。この勉強会を開催するにあたって不安なことは、内容を詰めることよりも参加者を集めることにあった。しかし石神さんを呼んだり社内SNSに書き込んだりすることで予想以上の来場者が訪れた。一度イベントをやってみると、現状を変えたいと思っている人が思いの外いることに気づいた。このまま順風満帆に行くかと思った矢先、かつての先輩蔵屋敷に「こんあんではダメだ」と言われる。

メッセージ

  • 何か新しい取り組みをするために情報収集するなら、自分の行動圏外に出てみる
  • 外から得られた学びはそのまま自分のところでも役立つとは限らず、状況や制約によってカスタマイズする必要がある
  • 仕事をよりうまくやるためには、状態を見える化するためにまずは以下のことをやると良い
    • タスクマネジメント:作業をする時にはその背景や目的を明らかにする、タスクは小さく切ることが重要
    • タスクボード:タスクの状態を見える化することで「気づき」にもつながる
    • 朝会:タスクボードの変化を反映、確認し、計画の見直しのきっかけを作る
    • ふりかえり:結果を棚卸しして次に活かすために行うもので、上記3つよりも重要なもの
  • 現場に導入するのが不安なら「許可を求めるな謝罪せよ」の精神でまずは小さく試みると良い
  • ふりかえり手法としてKPTがあるが、以下の点にも注意する
    • Keep:良かったことを挙げるが、続けるかどうかは別途判断する
    • Problem:問題になる前の兆候となるモヤモヤ感や、できるだけ具体的な事柄を挙げるようにする
    • Try:緊急度や重要度を見定めて順位付けをし、一気に全部やろうとしない
  • 完成図を思い描けるようにするためには、どこまでやったらこのタスクは終了なのかを明確にしたり、認識のズレが生じないようにタスクの単位を細かくしたりすると良い
  • タスクの優先度は、緊急度、重要度を4象限のマトリクスにした上で、いつまでも先延ばしにしているもの、簡単に効果が出そうなものにも目を付ける
  • 朝会で昨日やったこと、今日やること、困っていることをチェックすることでKPTのような効果を得ることができる
  • 本人だけではどうにも状況を変えられない状態に陥ってないか、メンバーと丁寧に向き合うためには1on1が有効になる
    • 聞き上手ではなくても相手を見て頷くという受け止め姿勢を見せることが大事
  • タスクボードでTODOを洗い出すと山積みになってしまうことがあるが、その場合は直近のタスクに絞って出すようにする
  • Doingのタスクがたくさんある場合はスイッチングコストがかかって良い状態とは言えなく、一つのタスクがどうやったらDoneに持っていけるかを考えるべき
  • WIP数に制限を設けることによって、何も価値を生んでいない時間を削減できるし、問題の先送りも解消できる
  • WIP制限をしていても緊急性のあるタスクは振ってくるのでその時のために緊急割り込みレーンを用意しておく
  • 行動をするのに遅すぎるということはない
  • 他人という第二の目を持つことによって視野が広がったり知識の質を強化させることができる
  • 何か問題が起こった時には対症療法だけで済ませず、仲間と一緒に氷山の根本にある問題を捉えることでグレードアップさせることができる

感想とか

「情報収集するなら外に」というのは本当に共感できた。社会人1年目の最後らへんで私は始めて勉強会(グロースハック系)に行ったのだが、そこで自分が今まで見ていた視野がいかに狭いかということを思い知った。やはり社内だけだと同じような考え、同じような情報に偏ってしまうことが少なからずあるので積極的に外の勉強会に行こうと思ったし、そういう場を作りたいと思って勉強会の主催もするようになった。

タスクを細かく分割するというのはこの前iOSチームでも話題に上がった。iOSチームではGitHubのissueにラベルで「見積もり1」「見積もり5」などを付けているのだが、この見積もり数が大きくなりすぎた時はそもそもそのissueがおかしいことを疑った方がいいという話で、今はだいぶ小さくissueが切られている。

朝会の有用さも現職になってからひしひしと感じている。それまでは大きな達成目標があって、その中でなんとなく日常をこなしている感があったが、朝会をして1日1日を振り返ることによって自分の作業の効率性なども意識するようになってきた。

スイッチングコストについては前職でわりと苦労した。その当時3つの全く異なる仕事を持っていたがそれぞれの仕事を平等に見れるわけもなく、だからと言ってやることはそれぞれあるわけなので主作業に集中することもできず、効率の悪い仕事の仕方をしていた感はあった。