10/20 Growth Hack Talks by Repro #2に参加してきました #ght2
モバイルアプリのグロースハックツールを開発している「Repro」さん主催の勉強会にブログ枠で参加したので参加レポを書きます。例によって資料がない発表のみトーク内容のメモを書きます。
前置き
今回のテーマは「Push通知を活用したリテンション・エンゲージメント施策」です。アメリカなどでは新規のユーザをロイヤルユーザにするための専門部署があるそうです。また、プッシュ通知などの施策をうまく回すことによって3%のリテンションアップを実現するための広告費を22%削減できた例もあるそうです。ということでRepro代表平田さんの挨拶によってよりプッシュ施策への関心が高まったところで4人の方によるトークが始まりました。
ちなみに本家Reproさんの「イベント開催しましたレポ」はこちらになります。
トーク
「プッシュ通知のPDCAの前に回すべきPDCA」@廣瀬氏
資料
プッシュ通知施策の改善はもちろん大事だが、プッシュを打つ以前の話、プッシュ通知の許諾率を上げるためにはどのようにしたら良いのかという話でした。
Q&A
- Q.最初に許諾しなかった人に許諾させるための施策は行っているか
- A.今はやっていないが、設定画面で設定できるようになっている
- Q.通知させたいとこだわっているということは、通知すると戻ってくる率が高いということがわかっている?
- A.というよりは確実に速くいい記事を伝えたいという思いから。通知で返ってくるユーザも実際いる。
- Q.重みはどのような意味? *A. 文言に数字をふる。0の場合は今度から表示しない。
- Q.プッシュの頻度はどのくらい?
- A.記事についているポイントによって頻度は異なる。
- Q.プッシュ文言は一つに絞るよりいろいろ出した方が良さそう?
- A.いいやつはずっと出しているが、新しくいいものを思いついたらそれも出すようにしている。
自分メモ
Reproの記事でも言及されていましたが、プッシュ通知の許諾率は平均40%と、低いものになっています。いくらプッシュ通知施策を改善してもそもそもの許諾率が悪ければ意味がないので許諾率を上げるということは非常に重要だと思います。
プッシュ通知許可ダイアログの表示位置の最適化、システムのプッシュ許可ダイアログの前にプッシュ通知を受け取ることのメリットを伝えるという話は以前私が開催したiOS Creators' Meetup vol.1でプッシュ通知におけるUXと開発という題で発表したことがあるので非常に共感できました。実装的な話で言うとrequestAuthorization(options:completionHandler:)
を呼ばない限りはシステムのプッシュ許可ダイアログは出てきませんからね。安易に最初に出すべきではないと思います。
すごいなと思ったのはプッシュ文言の最適化に対する取り組みです。いろんな文言を試してちゃんとそれを分析して活かすことは実は大変なんじゃないかと思います。
「ゼクシィ恋結びのプッシュ通知施策」@李氏
トーク内容
- ゼクシィ恋結び
- Facebookアカウントを使って恋人を探す
- 「恋のpush通知」について
- プッシュ文言の先頭に「恋」がついている
- プッシュ通知はユーザとのコミュニケーションの場
- プッシュ施策をうまく回すために
Q&A
- Q.マッチングのプッシュはそのタイミングをSDKで判定している?
- A.自動プッシュと施策のプッシュは別でやっている。施策のプッシュはReproを使っている。
- Q.プッシュの開封率は計測している?
- A.管理画面上で見られるので見ているが、最近はそこまで重視していない。プッシュの開封率高い人に打ったらそりゃ高くなるし。
- Q.運用ポリシーはどのようなレベル感?
- A.プッシュとはなんぞやから書いてある。相手の気持ち問わず打てるから気をつけなければ、なども。
- Q.プッシュの施策はUIのMAシナリオ的なところまで考えている?
- A.ボトムアップに。効果が出てきたものを定期配信にしたりしている。
- Q.セグメントを工夫して成功した事例は?
- A.アクティブなユーザはほっといても来る。マッチングがない、ネガティブなイメージを持っている人に対して「プロフィールをこんなのにしたらいいよ」などのマッチングのコツプッシュを打っていて、ちょっと効果が出てきている。
自分メモ
何となくプッシュを打って何となく効果が出た、ではやっぱりダメですよね。何を目標にして何をやって何が実現できたのかはしっかり設計しておく必要があります。つい先日自分が所属しているチームのMTGでも「自分が過去失敗したプロジェクトは施策をやる前にレビュー項目が出来ていなかった。PDCAを行う上でレビュー項目(≒ゴール目標)を決めるのは最も難易度が高いが、きちんと項目を設定し何ができて何ができなかったのかを把握する必要がある」という話がありました。やはり何か施策をやるのであれば今回の李さんの例のようにしっかり設計してやるべきだなとしみじみ思いました。
「位置情報ゲームアプリにおけるプッシュ通知」@中山氏
トーク内容
- 位置情報連動ゲームとは
- ポケモンGoとか
- ステーションメモリーズ(駅メモ)とは
- チェックインして日本全国の駅を集めてまわる
- 集めていくことでキャラクターが成長してバトルチックなことができる
- 結論
- どういうアプリか意識しましょう
- 駅メモ
- 電車に揺られてチェックイン
- 旅の思い出にチェックイン
- 簡単操作で安全第一
- 位置情報ゲームにもプッシュ通知を
- 運営チームでも色々やってみることに
- 想定するプレイ時間帯
- 通勤・通学時間帯
- →この時間にプッシュすれば効果が高いのでは?
- →開封率が改善した
- 調子に乗って朝毎日、休日もプッシュを送った
- →開封率が悪化
- 開封率が下がったときと同じような内容を別の時間帯に送ったらかなり開封率良かった
- プッシュのタイミング
- ユーザが移動したくなる移動している時を狙う
- 新規ユーザの場合はちょっと移動してから
- 連休の前など
- どんな文言なら開いてくれるのか
- このアプリはキャラが魅力の一つ
- ただの告知文<キャラクターのセリフ のはず
- キャラごとの口調に合わせてとにかくたくさん作ってみる
- →人気キャラの口調で送るとかなり開封率が良かった
- まとめ
- どういうアプリなのか意識しよう
- 利用したくなる時間帯を意識しよう
- 利用したくなる時期を意識しよう
- 利用されているキャラクターを意識しよう
Q&A
- Q.ユーザがアバターに設定しているキャラの口調でプッシュ通知を送るなどはしている?
- A.やっていない
- (平田さんコメント)継続率良いユーザに対してはユーザのプロファイルに合わせてプッシュを送るといい。高級車好きの人にポルシェのプッシュ送るなど。
- Q.ユーザが利用したくなる時間、時期はチームの中で仮説をどう出した?
- A.学生が多いので、学生がtwitterで呟いた時間とかを参考に。7:30くらい。
自分メモ
自分のアプリの特性を理解し、それに合わせたプッシュ通知施策を考えることは大事ですね。前職でECアプリのプッシュ周りのグロースハックを担当していたときの話を一部します。当時は何も考えず一律12時にプッシュを送っていたのですが、◯日連続タイムセール(1日1商品を任意の時間に特売)をやるついでにどの時間帯にプッシュを送るのが効果的なのかを検証してみました。検証項目としてはみなしプッシュ起動数(プッシュ通知を直接タップしていなくても、プッシュを打った時間近辺に起動した数)、プッシュしたタイムセール商品の購入数です。今手元に資料がないので正確に覚えてないのですが、起動数が多かったのは12時と19時だったと思います。ユーザが年配の男性が多かったということもあり、会社で昼休みまったりしている時、電車で帰宅している時に見ることが多いのだなと思いました。ただ細かいことを言うとセール対象の商品特性によっても行動が異なってきて、ちょっと金額が大きいもの、家族で使うものの場合、昼より夜の方がコンバージョン率が良かった気がします。奥さんとすぐ相談できる夜の方がいいのかなとか思ったような気がします。
「Poiboyで効果のあったプッシュ通知施策」@徳永氏
トーク内容
- poiboyについて
- 女性が男性をお気に入り登録することからコミュニケーションが始まる
- リリース半年でユーザ数20万人突破
- poiboyのプッシュ通知施策
- ログイン促進だけで終わらない
- アクションを促す通知を送る
- ローンチ後は忙しい
- データ分析 / プッシュ対象ユーザ / 結果の可視化 etc...
- →Reproなら全部簡単にできた
- 1.マジックナンバーの発見
- 2.ファネル分析
- 3.プッシュ通知施策
- プッシュ通知のPDCAを回す
- plan(action)
- 通知の精度を上げる
- →通知文、ターゲット、リンク先
- do
- プッシュの作成
- check
- コンバージョン率6%アップ
Q&A
- Q.課金施策でプッシュの成功事例は?
- A.課金開始しているのは男性だけ。「誰々さんからメッセージが届きました」というプッシュが届く。このプッシュはメッセージが来たら自社の仕組みですぐプッシュを送るようにしている。
- (平田さんコメント)課金しようとしたけど課金しなかったという人に対してはその人だけの情報(在庫が減った等)を送ると効果が高かったりする
- Q.マジックナンバーの仮説はどのように出した?(グループを5回見た人より6回見た人の方がリテンションが高いと思うが、5回という数値で区切った理由は?)
- Q.プッシュ通知の文言で効果あったものは?
- 若い人が多いのではっちゃけても受け入れられる
自分メモ
VASILYさんのブログ記事にも書かれているのですが、マジックナンバーを見つけて改善した有名な例がTwitterですよね。5人以上フォローしたユーザはその後も継続的に利用してくれる割合が高くなるというもの。文字面見てるだけだとなんとなく簡単そうに見えるのですがこれを見つけるのって結構大変ですよね。Twitterの例でいくと、もしかしたらボトルネックになるのはフォロワー数、ツイート数など別のところにあるかもしれませんし。何をしたユーザは残存率が高いのか、これはある程度当たりをつけた上で分析をして見つけていく必要があるのかなぁと思っています。
勉強会全体への感想とか
かなり実践的な内容が多く、参考になる部分が多かったです。いやープッシュ一つとってもきちんと設計してきちんと改善している企業さん多いんだなと思いました。特にプッシュ文言別の効果分析をスプレッドシートなどにまとめてやっているという話は結構刺激的でやってみたいなと思いました。
それからいつも参加している勉強会と異なり、懇親会でエンジニア以外の方ともいろいろ話せたのでそれもまた面白かったです。