読書メモ:『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』⑤
読んだ内容を忘れないように、かつより深く理解するための読書メモです。書評とは違います。
対象の本
初版 第3刷
今回の記事で扱う範囲
- capter 3:創造的問題解決の羅針盤
要約
デザイン思考が実際のビジネスに役立つのは、既存ビジネスの枠を超えたサービスの開発に迫られているときや、0から1を生み出さなければならない局面である。このような場合はそもそも課題が明らかでないことが多く、道筋もまっすぐにはいかない。デザイン思考のプロセスはステップではなく何度も行き来して質を高めるものであり、リサーチから得た具体的なインサイトを、分析、統合という抽象的なプロセスを経てプロトタイプにしていく。こうすることで思い込みを持ち込むことなくユーザに寄り添ったサービス設計ができる。デザイン思考はMBA型マーケティングとはユーザの立場に寄り添っているという点では共通しているが、主観的だが印象的なデータを集めるという点で異なる。
デザイン思考には4つのモードが存在し、それぞれ以下のように考えることができる。
- リサーチ(旅人):知らない世界を全身で感じ、それを記録に残す
- 分析(ジャーナリスト):記録から感じたことを振り返り、左脳を使って分析、消化する
- 統合(編集者):集めたインサイトから右脳を使って一枚絵などに凝縮する
- プロトタイピング(クラフトマン):手を動かして形にする
全て1人でこなすのは難しいため、いずれかに得意な人が集まり、それぞれのフェーズでリードして進めていくことが重要になる。
関門は統合とプロトタイピングの間にあるデザイン課題を特定し魂を入れるところである。統合以前までは主語は全てユーザであるが、解決すべき課題を決めて動き出すプロトタイピング以降は主語は自分たちになる。
筆者が実践デザインコンサルティング時に使った手法やツールは、リサーチ時だと歴史分析、トレンド分析、インタビュー時だとViddlr、分析時だと共感マップ、統合時だとカスタマージャーニーマップ、KJ法、プロトタイピング時Photoshopである。
デザイン思考でプロジェクトを進める時のポイントは以下の通りである。
- リサーチ時はAppreciative Inquiryやハイポイントインタビューなどを用いて共感しうる話を聞き出す
- 得られたインサイトを元に自分なりのビジョンを作る
- チームの中に存在する無意識なバイアスを壊す
- 素早くプロトタイプを作って建設的な批評を行う
調べたこと
p.98 デザイン思考の5つのステップ
スタンフォード大学が提唱している5ステップには共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストの5ステップがある。
p.132 共感マップ
共感マップの図やどのように埋めていくかについてはこのページに詳しく書かれている。
p.134 カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップのメリットや作り方を具体的に説明しているページはこちらになります。ちなみにタッチポイントとは、サービスとユーザが接した箇所であり、1つのチャネルでも複数の接点がある場合は実際に接触した箇所を指す。
p.141 KJ法
p.149 Appreciative Inquiry
ポジティブ・アプローチの一種で探求によって価値を見出す。こちらに詳しく書かれている。
p.149 ハイポイントインタビュー
最も◯◯だった体験を振り返ることでその人が重視している価値観がわかる。あまり良い資料はないがこちらで雰囲気はつかめる。
p.150 U理論
過去や偏見にとらわれず、本当に必要な変化を生み出す技術のことをU理論と言っている。U理論の内容についてはこちら、書籍『U理論』の要約が書かれているページはこちら。
自分の考えなど
この章では様々な方法論が登場しどれも効果的に見えるのだが、これを全部まともにやっているとスピーディに進めることは難しいのではないかということを思いました。実際、新規サービス立ち上げ時にカスタマージャーニーマップを作成した時は少なくとも5時間はかかっていた気がします。時間がかかるものだと割り切ってそれだけの工数を取って取り掛かるものなんでしょうか、、、?