とりあえずやってみればいいじゃん

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デザインコンフィデンス - これからのデザイナーに求められるもの #designship2018

※この記事はDesignShip 2018 2日目のトーク、長谷川 敦士さんによる「デザインコンフィデンス - これからのデザイナーに求められるもの」の内容を書き起こしたものです。記事を早く出すため体裁が整っていない部分もあるかと思います。あとで気が向いたら直します。

長谷川 敦士 氏経歴DesignShip Webサイトより)

1973年山形県生まれ。学術博士。「わかりやすさのデザイン」である情報アーキテクチャ分野の第一人者。2002年コンセント設立。UXデザインやサービスデザインを探求・実践している。企業や行政のサービス・コミュニケーション開発支援に加え、最近ではデザイン組織づくりや人材育成支援も行っている。2019年武蔵野美術大学造形構想学部教授に就任予定。HCD-Net副理事長、Service Design Network日本支部共同代表およびNational Chapter Board。著書、監訳多数。

トーク内容

デザインでひらく、デザインをひらくというコンセプトの会社にいる。

どうやって橋渡しをするのかという話をする。

デザインという言葉

コンピュータが出てデザインというものを変えなきゃいけなくなった。コンピュータの中だけを見ていても役に立つわけではない。ものだけ見ていてもだめ。そこでUXというものが出てきた。使う状況を考える必要が出てきた。あってもなくても生活はするが、どのようにすれば効果的なのかを考える。UXはデジタルに限らない。コーヒーのボスの場合、デザイナーの机の上に置いてあってもいいものを、という意図で作られている。

思考のフレームワーク

Human Centered Designサイクル。どのような状況にあるのか、ゴールを設定してそこに向かうように。設定したら、作ってみて、評価をしてやり直して、という状態。これがキャッチーになったのがデザイン思考。デザイン思考はデザイナーがやっていた思考を、デザイナー以外の人がやるためにできたもの。主にビジネス、テクノロジーの人がデザイン領域を学ぶためのもの。

時代の流れ

昔は壊れないこと、流通させること、ストーリーがついた情報が優位性を持っていた。近年では顧客の時代になった。こだわっている情報は見るけど、その他は見ない状況。自分の顧客が何をやりたいのかに焦点を当てることが重要。

マーケティングの業界ではグッズドミナントロジックからサービスドミナントロジックに変えなければいけないという流れになってきた。顧客に提供されるのは全てサービス。ものはサービスの乗り物。サービスデザインが重要になってきている。

ものを売るのが大事な時代は認知が重要だった。今は体験してもらって、そこに価値を感じてもらうように変えなければいけない。ビジネスとテクノロジーの人にとってもユーザをちゃんと見なければいけなくなった。

デザインとは

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科学の場合は人のためとかは考えていなくて、自分が知りたいからやっている人種。アートで得たものを人のために使うのにはデザインが必要、というような見方をする。デザインは、どちらかというと後から必要だったものが、今は最初から必要になってきた。テクノロジー主導の世の中からデザイン主導の世の中になってきた。

Uberの例

Uberがブレイクした理由。エンドユーザの体験価値が高かった(日本ではタクシーが優秀だからあまり流行らなかった。アメリカではタクシーを呼ぶのは結構大変)。加えて、ドライバーもユーザがやっている。Uber社に所属しているわけではない。ユーザが両面にいる。乗車する人も、ドライバーもユーザ。(初めてドライバーをやる人がどうやって最初の体験を乗り越えるのかを検証したりも)。両方のユーザに対してのデザインをしなければならない。

レーティングがうまく機能している。レートが3以下の人がいたら、キャンセルしていいという決まりがある。そうすることでクオリティが良くなる。エアコンの具合、音楽など気にかけてくれる。評価の仕組みを盛り込むことによって、サービスのレベルを自分で高めている。勝手にサービスのクオリティが上がるようになっている。エクスペリエンスもいいし、複数のユーザのバランスを取っているし、クオリティを高める仕組みもある。

Netflixの例

サブスクリプション動画はよくある。直接Netflix社にお金を払うから、オリジナル動画を作れる。動画がどこまで見られているのかのデータも取っている。どこまでが許されるかもデータとしてわかる。動画を作るという業界全体の生態系を変えた。

Amazonの例

iPhoneケースの話。iPhone自体完成されているが、ケースを使っている人は多い。一般の人は、元のデザインをカスタマイズしているという感覚がないかもしれない。デザイナーが完成形を作って届ける時代ではなくなってきている。自分で、自分のものにしている。デザイナーは途中のものを出している。

臓器提供意思表明

臓器提供の意思表示比率には国によって大きな差がある。オプトインかオプトアウトかの問題。臓器移植をしないならチェックしてください、だと、意思表示でOKの人が増える。行動経済学が関わってくる。同じことを言っているが、意思表示のデザインを変えるだけで行動が変わる。それぐらいでもかなりの結果の差がある。社会的課題を解決できるかもしれない。社会の中でデザインがやることとして、このようなことも考えなくてはいけなくなってくる。

社会の中のデザイン

社会の中に、デザインは埋め込まれている。ユーザのエクスペリエンスがビジネスの主戦場になったとき、デザインが与える影響が大きくなってきた。自分のデザインする対象に入っているという意識を持つ。デザインによってなされていることがあれば、それを指摘すべきなのもデザイナー。一番わかっているから。

今はデザインは地動説的だった。これからは量子力学的デザイン観に変えていく。デザイナーが何かをやることによって、行動がダイレクトに変わるようになってきた。

社会が直面している問題

シンプルな問題、複雑な問題だけでなく、厄介な問題、意地悪な問題がある。解き方は不明だし、正解がない。問題が解決したのかもよくわからない。それに対して解決していかなきゃいけない。

デザイン思考の大切さの理由

問題を解決するには具体的な事象の観察から入るのが普通。厄介な問題の場合は、この流れができない。デザイナーはプロトタイピングをする。よくわかんないからプロトタイピングをする。解決策が見えているわけではない。とりあえず作ってみるという状態。プロトタイピングをしたら発見があるということが発生する。ユーザを見ること以上に、プロトタイピングをすることによって解決策を導くことも重要になって来ている。

デザイナーは自分のプロトタイピングによって問題が解決するという確信を持たなければいけない。アプローチによって課題が解決するという確信を持つことが重要。プロトタイピングで解決する、ということをデザイナー以外は知らない場合もある。自分が関わるデザインのプロジェクトはデザイナーが考えなければいけない。作る体験をした人でなければわからない。

GoProでは、自撮りをしたいから作った。日本のカメラメーカーは思いつかなかった。自分の信念を持ってデザインしていった事例。

デザイン思考はユーザを見に行くこと。意味のイノベーションでは、見に行かないで考えるということもやっていくことも良い。その後、それを人に共有して、衝突したり融合したり。

ビジョンデザイン

デザイン思考で今の課題を見つけて解決するのはプロスペクティブなアプローチ。あるべき姿を設定してそれを実現するためには?というアプローチはプロスペクティブ。

課題の解決を考えるのは、ある意味楽。競合するメーカーがやったら同じものにたどり着いてしまう。今はプロスペクティブなアプローチも重要。

最後に

自信を持ちましょう。プロトタイピングを作りましょう。